相続登記の義務化について
2024年07月17日
相続登記が義務化
令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。
施行から3か月が経ちましたが、令和6年4月1日より前に相続して相続登記をしていないものも対象となりますので、この機会にご確認いただければと思います。
東京法務局のホームページに分かりやすく掲載されていますので、以下に引用します。
令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。
(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。
出典:東京法務局ホームページ/2024.7.5更新
東京法務局ホームページ https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html
この新制度のポイントはペナルティが科されるところで、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となります。
正当な理由とは簡単にいえば「相続登記まで時間がかかる」場合で、相続人が多く遺産分割協議が大変・相続争いがある・相続登記義務を負う者が重病・相続登記義務を負う者の家庭的または経済的問題等…により時間がかかってしまう場合です。
そこで、早期に遺産分割をすることが困難な場合には、「相続人申告登記」という簡潔な手続きが新たに作られました。相続人申告登記は、戸籍などを提出して自分が相続人であることを申告しますが、権利者であることではなく相続人であることを公示する制度となっています。申告することでペナルティは免れることになりますが、遺産分割協議がまとまり次第、相続登記を行う必要がありますのでご注意ください。
問題は所有者不明土地
相続登記が義務化された背景として、「所有者不明土地」の急増による問題があります。
所有者不明のまま、土地が活用できない管理されないことで問題点は大きく二つ。
1.所有者がわからないまま放置され管理が行き届かず環境悪化につながり近隣住民への影響も。
2.災害時緊急工事や災害整備のための公共事業等が進まない。
他にも問題はありますが、不動産取引では被相続人名義のまま相続人が売却した場合、売却後に買い主の名義に変更する移転登記ができず、原則所有権を取得することができないことになります。
また、相続登記をしていないと相続物件を担保とした融資も受けられないなどのデメリットもありますので、相続したら早めに登記申請をしましょう。相続人が多い場合、遺産分割協議に時間がかかることもありますので、早い段階で対処できるよう考えておく必要があると思います。
登記は相続人本人が手続きをすることもできますが、時間と労力がかかるため余裕がない方は専門家である司法書士に相談することをお勧めします。
相続したら早めに登記申請を
今回は「相続登記の義務化」について簡単ではありますが取り上げてみました。相続したら、早めに登記申請を行いましょう。令和6年4月1日より前に相続して相続登記をしていないものも対象となります。
なお、「相続空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」が4年延長され、適用期間が令和9年12月31日までとされました。この特例は所有者不明土地とともに社会問題となっている空き家問題を解決する一つの方法として設けられました。特例の適用を受けるためにはいくつか要件がありますが、この特例についてはまたの機会に。
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