空き家を放置すると固定資産税が6倍に?
2024年09月16日
少子高齢化で増え続ける空き家ですが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が改正され令和5年12月13日に施行されました。
今回の改正では、これまで「空家等」「特定空家等」と定義していた二つに「管理不全空家」が新たに加わりました。「管理不全空家」は、放置すれば「特定空家等」になる状態の空き家で、指定され勧告を受けた場合、敷地に係る固定資産税の住宅用地特例が解除となり固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
空家等とは?
建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。
ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
管理不全空家とは?
管理不全空き家とは、適切な管理が行われず、老朽化が進んでいる空き家のことで、放置すれば「特定空家等」となる恐れがある空き家です。
特定空家等とは?
・ 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・ 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
行政による強制撤去等(代執行)が可能となります。
住宅用地特例の適用除外
これまで、「特定空家等」に指定されると住宅用地にかかる固定資産税の軽減措置(最大で1/6の減税)が解除され、税額が最大6倍になる可能性がありましたが、今回の改正により、その前段階で所有者に空き家管理の責務を強化し、行政が指導・改善を促すことが可能となりました。
「管理不全空家」が「特定空家等」に指定される主な要因は、適切な管理の欠如による建物の劣化や安全性の問題です。これらの問題が放置されると、結果的に「特定空家等」とされ、改善するための費用負担等(命令に違反すると50万円以下の過料)様々なリスクが発生します。
特定空き家に指定されるプロセス
・空き家が長期間放置され、建物や敷地が荒れ始める。
・屋根や外壁が劣化し、基礎部分に問題が生じる。
・安全や景観に悪影響を及ぼす。
・防犯、防災、衛生面で問題が発生、さらに周囲に悪影響を与える。
特定空き家とならないために
「管理不全空家」や「特定空家等」にしないためには早期の対策が必要です。
・空き家の発生原因の多くは相続です。親などが元気なうちによく話し合い、方針を決めておくことが重要です。
・早めに「売る」「貸す」「解体する」などの方針を決めておきましょう。
・定期的な点検とメンテナンスで建物の老朽化を防ぐ。
・遠方に住んでいる場合、空き家管理会社に委託する。
親が認知症と診断され意思能力がないと判断されてしまうと、現行法では「契約は無効」となってしまいます。その場合、成年後見制度を利用することになりますが、費用や時間もかかるためそう簡単ではありません。
活用方法の検討
空き家を適切に管理できない場合は、早めに活用方法を検討することが重要です。空き家を活用すれば、税制優遇を維持しつつ、建物を有効に使うことができます。
・空き家を賃貸に出したり、売却して他者に活用してもらう。
・リノベーションして住宅や店舗として利用する、または地域活動の拠点として活用する。
まとめ
「管理不全空家」や「特定空家等」に指定されると、固定資産税の優遇措置を失い、大幅な税負担の増加や撤去費用等が発生するリスクがあります。これを防ぐためには、親などが元気なうちに話し合い早めに方針を決定しておくことが大切です。相続後は定期的な管理とメンテナンスを行い、管理不全空き家への指定を避けることが不可欠です。また、空き家を賃貸やリノベーションすることで、建物を有効活用し、税制優遇を維持しつつ経済的メリットを得ることができます。日本国不動産では、不動産についての無料相談を完全予約で行っております。鶴岡市・庄内地域の不動産についてのご相談はどうぞお気軽にお問い合わせください。
参考:国土交通省ウェブサイト空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
空き家等に係る媒介報酬規制の見直しについて
2024年08月23日
空き家等に係る媒介報酬規制の見直しについて簡潔にまとめてみました。
2024年7月1日から「低廉な空き家等の媒介特例」を拡充した新たな規定が施行されました。この改正は特に、低価格の空き家の流通を促進することを目的としています。
特例の拡大
これまで400万円以下の物件に適用されていた媒介報酬(仲介手数料)の特例が、800万円以下の物件にも適用されるようになりました。この改正により、仲介業者は売主と買主双方から最大33万円まで受領可能となりました。
長期空き家への対応
賃貸借契約に関しても、「長期空き家等の媒介特例」が創設されました。これは、長期間放置されている空き家の賃貸仲介手数料の上限を引き上げる制度で、空き家の有効活用が進むことが期待されています。
今回の改正により、低価格物件や空き家の流通が促進され、不動産市場の活性化が期待されます。低価格物件の購入を検討している方にとってもこの改正は重要ですが、空き家が古くなっている場合、リフォームや改修に多額の費用がかかることがあります。そのため、家を解体して土地だけを利用することも選択肢の一つですが、土地利用については注意が必要です。
ここからは土地の再利用のポイントを
解体費用
家を壊すには解体費用がかかります。この費用は、建物の大きさや建材によって異なりますが、一般的には木造で1坪当たり3万円~5万円が相場です。しかし、法改正により建築物又は工作物の解体等の作業を行う場合、石綿(アスベスト)使用の有無について事前調査が必要となりました。そのため、アスベストの調査結果次第では解体費用が高額になるケースも考えられますので、調査解体を行う前に、業者に見積もりを依頼して費用を確認することが重要です。
再利用の目的
解体後の土地は、新しい住宅の建築や駐車場として利用するなど、それぞれ目的は違うと思いますが、土地の利用には都市計画法や建築基準法の他にも法令上の制限がありますので、再利用の計画を立てる際は、法令や規制等、制限について確認する必要があります。
固定資産税の変動:
空き家を解体すると、その土地の固定資産税が変動する場合があります。空き家がある状態よりも、家がない更地の状態のほうが税額が高くなることが多いため、税金の増加も考慮する必要があります。
注意点
解体後の土壌に問題がないか(例えば、地中埋設物がないかなど)を確認することも重要です。
土地の利用方法について具体的な計画がある場合は、建築業者や不動産業者に相談して適切な手続きを確認することをおすすめします。
まとめ
今回の宅建業法改正により、空き家の取引が活発化し、不動産業者だけでなく住宅購入を検討している消費者にとっても選択肢が広がるなど朗報ではないでしょうか。売却を検討している方にとっても市場活性化が重要となります。また、古い空き家の土地を活用することで、さらに多くの可能性が開かれます。
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