実家を相続することになったら
2024年07月20日
親から離れて暮らしていて実家を相続することにたったら、どうすればいいのか?
選択肢として、自分や家族で住む・賃貸する・売却する・更地にして活用を考える・相続放棄…などが考えられますが、ここでは不動産屋の視点から売却することについて考えてみます。
相続不動産売却の大まかな流れ
自分が相続することが決まったら、他の相続財産とまとめて相続税の申告と納付を
相続税の申告には期限があって10か月以内となっていますが「相続税の基礎控除」の範囲内であれば相続税はかからず申告も必要ありません。
基礎控除額は3,000万円 +(600万円×法定相続人の数)となっています。
※参考:国税庁ホームページ/相続税の仕組みの分かりやすい解説より相続税のあらましPDF
実家の相続税評価額については、・建物「固定資産税評価額」×1.0・土地は「路線価方式」と「倍率方式」の二つの評価方法で算出します。算出した実家の評価額を他の相続財産と合算して基礎控除分を引いた額に相続税率を乗じます。
【(全ての相続財産額−基礎控除)×相続税率】
※税率はこちらを参考に/参考:国税庁ホームページNo.4155 相続税の税率
相続税については専門的な知識が必要となる場合も多く、きちんと調べる必要がありますので、税理士や税務署に相談することをお勧めします。
遺産分割協議(相続人が一人の場合は不要)が終わると、相続登記を申請
相続登記の申請は、必要書類も多く作成する書類もありますので、自分で登記申請もできますが、時間と労力に余裕がない方は専門家である司法書士に依頼しましょう。
以前、投稿した 相続登記の義務化についてで触れていますが、2024年4月から相続登記は義務化されましたので、相続開始から3年以内に登記する必要があります。また、相続登記をしていないと売却後、所有権移転登記ができないなど問題がありますので、売却する前に相続登記を済ませておきましょう。
登記費用は、相続登記の登録免許税は通常よりも軽減されていて0.4%なので、評価額2,000万円の場合、登録免許税8万円に司法書士報酬6~10万円を加算した額が目安となります(対象不動産や相続人数及び取得する書類等でかわりますので事前にご確認ください)。
不動産業者に売却の依頼をする
売却することを決めたら、実家の売却を仲介してもらう不動産業者を選び査定を依頼します。
査定はポータルサイトなどでも簡単にできますが、特に建物の詳細な査定は実際に見ないと難しいところもありますので、地域の不動産業者へ依頼することをお勧めします。
査定が終わり販売価格が決まったら不動産業者と媒介契約を締結します。この媒介契約には三種類あり、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約があります。
簡単にまとめると以下のような違いがあります。
・一般媒介契約=専属契約ではなく複数社に依頼可、自己発見取引も可能。
・専任媒介契約=1社のみ専属契約、自己発見取引も可能。
・専属専任媒介契約=1社のみ専属契約、自己発見取引不可。
他にも契約期間や不動産業者側の義務に違いがありますが、業者としては熱の入れようが変わってきます。契約前に内容をよく確認した上で、どの契約が合っているか判断しご契約ください。
売却活動によって買い主が見つかったら、売買契約を締結する
売買契約の際、必要となる費用は印紙税(不要な場合もあり)と仲介手数料の半額。仲介手数料は物件の売買金額によりますが、金額が400万円を超える場合は速算式で3%+6万円+消費税の額が上限となります。(※2024年7月1日から「低廉な空き家等の媒介の特例」が800万円以下の物件まで拡大されました。そのため、低廉な空き家等の媒介の報酬額の上限は、800万円以下の物件で33万円となりますので、速算式が使えるのは800万円以上の物件になります。)
1,000万円の売買金額の場合
1,000万円×3%=300,000
300,000+6万円=360,000
+消費税36,000
合計396,000円が仲介手数料の目安です。
残りの仲介手数料半額の支払いは引渡しの時になります。
所有権移転登記は、一般的には買い主が負担します。
以上、大まかな売却スケジュールについて説明してきましたが、ケースにより、解体工事や測量、家財の処分等々…諸費用がかかる場合がありますので注意が必要です。
また、売り主が責任を負う「契約不適合責任」についても十分に理解し、建物の欠陥は正直に告知することが大切です。実家に欠陥があるのかよく分からない場合は、インスペクション(住宅診断/建物状況調査)を行うことをお勧めします。費用は5~10万円(面積等により違います)程度。
売却益がでた場合は確定申告をする
売却が済んだら譲渡所得を計算し売却益がでた場合は申告をします。
【譲渡所得】=収入金額(売却価格・税金の清算金等)-取得費(実家の購入費※分からな場合は収入金額の5%)-譲渡費用(仲介手数料等)-特別控除
売却益が出た場合は実家を売却した翌年の2月16日~3月15日までに申告します。
税率は所有期間によってちがいます。国税庁ホームページなどでも確認できますので、以下のリンクより国税庁ホームページをご参照ください。
※参考:国税庁ホームページNo.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
特別控除について
親と同居していた場合は「小規模宅地等の特例」で節税できますが、離れて暮らしていた場合、相続人が持ち家ではなく賃貸物件に住んでいた場合に限り、この特例の適用対象となります(他にも要件があります)。
離れて暮らしていて持ち家だった場合は「相続空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例」もありますので、要件に適用すれば節税につながりますので、詳しくはこちらをご参照ください。相続空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例
税金については専門の税理士にご相談ください。実家の売却及び物件探し等、鶴岡市・庄内地域の不動産についてのご相談は「ご相談・お問い合わせ」ページよりご予約ください。