媒介契約の種類と選び方|一般・専任・専属専任の違いを解説
2025年09月27日
不動産を売却しようと思ったとき、多くの方が最初に戸惑うのが媒介契約(ばいかいけいやく)についてではないでしょうか。
「不動産会社にお願いするのは分かるけど、媒介契約ってなに?」「仲介となにか違うの?」「専任とか一般とか、どれを選べばいいの?」と疑問に思う方は少なくありません。
実際、媒介契約は売却活動をどのように進めていくかを決める大切なルールです。ここを理解しておかないと、「思っていたのと違った…」ということにもなりかねません。
そこで今回は、不動産売買に欠かせない「媒介契約」について解説します。土地や建物の売買・交換の仲介を依頼する際に結ぶ「媒介契約」には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴や違いがあります。本記事では、その内容と選び方のポイントを分かりやすくご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
媒介契約とは?
不動産を売却する場合、通常は不動産会社に依頼します。顧客が物件の売買を業者に依頼し、業者が承諾することで一定の契約関係が生じます。このときの依頼契約を「媒介契約」といいます。
媒介よりも「仲介」という言葉の方が、ピンとくる方が多いと思いますが、仲介とは、簡単に言えば売主と買主の間に入って、そのやり取りを取り持つことです。
「媒介」も同じ意味ですが、こちらは法令や契約上の正式な用語として使われることが多い表現です。土地や建物を売却する場合、「媒介契約」を結ぶことで、不動産会社は売主の代わりに買い手探しや広告活動、内覧対応などを行います。
民法では、書面を取り交わす必要はなく、口頭による場合でも有効な契約が成立することになりますが、不動産会社には媒介契約書(34条の2書面)を作成し、依頼者へ交付する義務があります。
媒介契約は、「この不動産をどういう条件で、どの不動産会社にお願いするのか」を明確にするための約束事ですが、媒介契約には『一般媒介契約』、『専任媒介契約』、『専属専任媒介契約』の3種類があります。
ここからは、3種類の媒介契約について、その特徴を概略的にご説明します。
一般媒介契約の特徴
「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に同時に依頼できる契約です。売主が自分で買主を探して直接契約することも可能です。複数社に依頼できるため、広く販売活動をしてもらえ、自分でも買主を探せる自由度がありますが、不動産会社にとっては「自分が売主を見つけられるとは限らない」ため、販売活動が消極的になる可能性もあります。また、売主は不動産会社とのやり取りが煩雑になるため、時間に余裕がない方には適していません。
さらに一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があります。明示型は、売主が他の不動産会社にも重ねて依頼していることを通知する義務がある契約形態です。これにより複数の不動産会社間で競争が生まれ、活発な販売活動が期待できます。ただし、売主には通知の手間があり、通知を怠ると費用請求などのリスクがあります。
非明示型は、他社への依頼を知らせる義務がなく、売主は自由に複数の会社と契約できます。通知の手間はなく売主の自由度が高いですが、不動産会社間の競争が起きにくく、販売活動が消極的になりがちです。
専任媒介契約の特徴
「専任媒介契約」は、依頼できる不動産会社が1社だけになる契約です。ただし、売主自身が見つけた買主と直接契約することは可能です。
1社が販売活動を行うため「信頼できる担当者に任せたい」という方には専任媒介が向いています。
「一般媒介契約」とは違い、レインズ※(不動産流通機構)への登録や、定期的な業務処理状況の報告が義務づけられているため、不動産会社としても責任を持ってしっかりとした対応をしてくれますが、販売ルートが限定される可能性もあります。
※レインズ(REINS)とは、不動産会社だけが利用できる、全国の物件情報が共有されるコンピューターネットワークです。
専属専任媒介契約の特徴
「専属専任媒介契約」は、専任媒介と同じく1社にしか依頼できません。さらに、売主が自分で見つけた買主と直接契約することもできないため、必ず依頼した不動産会社を通す必要があります。
また、毎週1回以上、業務処理状況について報告が義務づけられており、進捗が分かりやすく、最も販売活動が積極的に行われやすい契約ですが、自分で買主を見つけて契約することができません。売主にとっては自由度が低いというデメリットもあります。
「とにかく早く売りたい」「全面的に不動産会社に任せたい」という方には向いていると言えます。
3つの契約の違いを比較
ここで、3つの契約の違いを整理してみましょう。
違いを理解すると、自分に合った契約が見えてきます。
「一般媒介契約」→「専任媒介契約」→「専属専任媒介契約」の順に、依頼者への制約が強くなっていきます。このため、宅建業法では、依頼者を守り、かつ不動産流通市場の透明性を高めるために、不動産業者には業務処理上の報告とレインズ登録義務が課されています。また、レインズに目的物件を登録したときは、その登録を証する書面(登録済証)を遅滞なく依頼者へ交付する義務もあります。レインズに登録すると、物件が広く公開されるようになりますが、知人やご近所の方などに知られたくない場合は「一般媒介契約」を選ぶといいでしょう。
注意点としては、「自分で買主を見つけた場合」です。契約の種類によっては、それまでに不動産会社が負担した広告費などを請求される場合があります。
また、買主がローンを利用するケースでは、ローン審査に必要な重要事項説明書の提出が求められます。これは専門的な書類で、自分で作成することは難しいため、不動産会社に依頼するのが一般的です。そのため、仲介手数料が発生します。
媒介契約を選ぶときのポイント
「どの契約を選べばいいのか?」迷ったときは、次の基準で考えてみましょう。
✅自由度を重視したい、売却することをあまり知られたくない → 一般媒介
✅安心して任せたいが、自分で動く余地も残したい → 専任媒介
✅とにかくスピード重視で早く売りたい → 専属専任媒介
どの契約を選んでも「信頼できる担当者と出会えるか」が最も大切です。契約内容だけでなく、不動産会社の対応や姿勢も見極めましょう。
まとめ
不動産の売却は、一生に何度も経験することではありません。そのため、媒介契約の種類や違いを知っておくことは安心につながります。
✅複数社に依頼できるのは「一般媒介」
✅1社に任せつつ自由度もあるのは「専任媒介」
✅全面的に任せたいなら「専属専任媒介」
それぞれにメリット・デメリットはありますが、何より大事なのは、自分が考える売却時期や方法について、担当者としっかり話し合い、その内容に納得できるかどうかです。信頼できる不動産会社に相談し、納得できる形で契約を結ぶことが成功の第一歩となります。
不動産の売却を検討中の方は、まずは無料査定から始めてみませんか? ご相談だけでも大歓迎ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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